シンデレラに玻璃の星冠をⅠ



「あんたが――

人を愛さないからだよ」




思わずそう口走っていた。


何でそんなことを言ったのか判らない。


判らないのだけれど――

あたしは溜まらずに悲しくなったんだ。


――芹霞ちゃあああん!!


櫂と同じ顔で。

少しでも悲哀の片鱗を垣間見てしまえば。


あたしは――

放っておくことが出来なくて。


「お前も…あいつと同じことを言うんだな」


そう久涅が言った時、外ががやがやと煩くなった。


このキーキー声は…小猿くん?


そして――


「芹霞はいるか!!!?」


その声は――


「紫茉ちゃん!!?」


久涅がそれに気を取られた時、


「!!!!」


あたしは、走ったんだ。


紫茉ちゃんの声が聞こえる場所に。



< 1,055 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop