シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「紫茉ちゃん。君が初めての皇城本家に乗り込んできた勇気は褒めてあげるけれど…悲しいかな、君は…ただの餌にしか過ぎないんだよ?」
「え?」
「もう…なるようにしかならない。
…動き出したら止まらない。
誰がどんなにもがいてもね」
くつくつ、くつくつ。
「動き出したんだよ、紫茉ちゃん。
人の手を離れた処で、運命という大きな輪が廻りだしたんだ。
君も芹霞ちゃんも全ては駒。
誰かが誰かの足をひっぱり…そして皆、結局信じられるのは自分だけだという真実に気づくだろう」
くつくつ、くつくつ。
「誰も助けてなんてくれないよ。
誰も助けてなんて上げられないよ。
皆上辺だけの形ばかり気にして、本質なんて見ようとしない。
自分が一番可愛いんだ。
人間なんて所詮はそんな…薄情なものさ。
――ね、久涅ちゃん」
久涅は何も答えず、ただあたしだけを見ていた。
「誰かの為に頑張って何かをするなんて、ただの幻…夢物語。
そんな滑稽すぎる茶番劇…見ているだけで反吐が出るよ。
ぷちっと…潰してやりたくなる」
あたし、紫茉ちゃん、小猿くん、朱貴を順に見渡して、そして最後に…煌を見つめていた。