シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
だけど、窒息感は薄れることなく、芹霞は更に力をいれて塞ぎにかかる。
おい、俺を殺す気か!!?
もごもご状態の言葉は、まるで通じねえ。
だけど何とか伝えたいと…もごもご口を動かし続けた。
ふと…思ったんだ。
芹霞の声が真上から響くのなら…こいつは今、俯せ状態か?
だとしたら――
この口の中のは…どこの何だ?
想像したら…興奮にも似た、妙な汗を掻いてきた。
上半身の肉…だよな。
まさか此処まで、芹霞の腹の肉が盛り上がっているわけねえし。
だったら――
ごくん、と俺は唾を飲み込んだ。
ごちそう?
ご褒美?
そこからはもう、口は勝手に動き出し、沸騰した頭は変な陶酔感に浸り。
すげえそそられる状況に、苦しさも腕の痛みもどこかにいっちまったようで。
口から触れる芹霞の柔らかさに、身体が熱くなってきて。
やばい、本気に盛りたい。
全身の血が、どくどく脈うってくる。
本能的に…味わうように、はむはむと甘噛みしてみたら――
何かを誰かに叫んでる芹霞の声が震え出し、何だか嬉しくなった俺が、態勢をずらして本格的に攻めようとした時、
「生き返ったら、絶対絶交してやる!!!」
途端に恐怖にびくりと震えた俺の腹を、拳でどすどすうちつけて。
打ち身がまだ響く俺の腹に、それは容赦なく。
「煌ッッ!!!!生き返ってよ!!!」
それはまるで、芹霞の復讐を遂げる為に帰還しろと脅されているようで。
「少しでも動いてくれれば、腕の変色場所…ぎゅうって両手で力一杯握り締めるのに」
絶対――俺に言っている。
判っていて言っている。