シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
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「ねえ――…

もういいよ、下手な演技は。


ワンちゃん…


目覚めているんでしょ?」



七瀬の兄貴の声に、びくりとしたのは…俺と芹霞が同時だった。



「「え!!? 帰ってきてるのか!!?」」



声を同時に放ったのは、小猿と…多分七瀬。


良かった…七瀬もちゃんと戻れて、此処に来たんだ。

ということは、朱貴も一緒に来たということか?



「め、めめめ目覚めてなんて…いいいいるわけな、ない…じゃない!!!」



おい、大根。


そのわざとらしい動揺、どうにかしろよ!!!


ばればれだっつーの。


「ほら、芹霞が違うって否定してるじゃないか!!!」


その大根にひっかかる七瀬。


「そうだよ。いい加減なこというなよ、クソ大三位!!!」


そして小猿。


更に――


「煌が呑み込まれたアレは…"エディター"の防衛本能だ。更に予想外の…外部的圧力をモロに受けて、簡単に戻ってこれるなんてありえない。"エディター"に許容されている人間ならまだしも」


…おい、七瀬。


俺は戻って来てるぞ?

結構…あっさり…。


ということは…"エディター"に許容されてるって?

俺、玲じゃねえのに?



「紫茉。あいつは人間じゃないぞ、ただのエロワンコだ。周涅。そんな障害にあって…どうみても馬鹿過ぎるワンコが、それを易々と乗り越えて賢く帰ってこれると思うか? きっと今頃遠吠えして癇癪起こしてるぞ、どっかで」



小猿!!!


俺はワンコじゃねえってば!!!

遠吠えしてねえって!!!


なんて、突っ込み処満載の奴らだ。
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