シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
つまり――
予(あらかじ)め仕組まれてた中に、俺はまんまと乗せられていたということか?
俺が此処に来て、此処に残っているということは…
つまり櫂も他の奴らも…全て"何か"の手の内に泳がせられていただけだと?
「ふざけんな…」
俺は、飄々とした笑いを浮かべる周涅を睨み付けた。
「俺は…俺の意志で此処に居る!!!」
そして俺は芹霞の手を引いて、俺の後ろにつける。
「皆そう言うよね。運命の環は自分が回していると。ふふ…運命っていうものを判っちゃいない。運命いうものは何があっても揺らがないものだ。そうだったよね、運命論者の芹霞ちゃん」
芹霞は何も言わなかった。
「朱ちゃんもそれ…十分判っているよね。運命というものがどんなに過酷で抗うことが出来ない強大なものなのか」
朱貴も何も言わなかった。
「『TIARA』もサンドリオンも…櫂くんの従兄の目を抉らせ、"通行料"とさせるのも全て…既に決められたものの一部。長い劇のただの一幕」
こいつ…全て知っているのか。
それに対して、久涅も朱貴も何も言わねえってのは…既知の事柄なのか?
判らないでいるのはそれ以外の俺達。
「1つ…教えてあげる」
周涅は…腕を組んで愉快そうに笑った。
「ワンちゃん…。
君は…櫂くん達の処から離脱するよ?
自らの意志で…ね」
それはやけに自信満々で、俺の神経を逆撫でさせた。