シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
足止め食らってるのか!!?
慌てて駆け付けようとした…時だった。
朱貴がその方向を見たのと、そこから声がしたのは。
「待ち兼ねたぞ、BR002」
そういう呼称で俺を呼ぶのは――
「うわ、煌…。
銀色氷皇…だよ!!!」
BR001。
俺の上位の制裁者(アリス)だけだ。
警戒する俺達の前で、銀色氷皇はゆっくりと口を開いた。
「ああ…『漆黒の鬼雷』は…凱や雅の相手をしている。案ずるな」
銃弾の音が凄まじい。
「ワンコ、ワンコ!!! 軍艦から…大砲放たれてる!!!」
ドオーーーンッッ
ドオーーーンッッ
連続かよ!!?
何処までも桜の危機的状況を裏付けるものばかり。
桜!!!
車を潰した鉄球クレーン車の一部も、桜が切ったものが倒れ込んだのかも知れない。
他にも…何tもありそうな鉄の塊が散らばっている。
元は何であったのかは判らねえが、ガラクタの遺物がかなりある。
これは…皆桜に差し向けられ、桜が切ったものなんだろうか。
裂岩糸は手元にあるのは、間違いねえ。
駆け付けたい。
だけど――
「お前の相手は…俺だ」
そういうことかよ。
予め割り当てられていたということか。
だから俺をあっさり出したんだ。
俺が…すんなり突破できねえと、見越して。
それが"脚本"。
舐めるな!!!
同時に――
桜には凱と雅、
俺には銀色氷皇。
つまりは…それぞれに足止め食らわせて、櫂を守るものを削ぐ魂胆か!!?
「櫂は…居るのか!!?」
銀色氷皇は…笑う。
「あの男は…向かった。
横須賀の…墓標に」
「墓標……?」
芹霞が震えた声を出す。
「ああ…。向こうには…待機している。
――紅皇が」
最悪だ。