シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 


蠱毒……。


2ヶ月前、邪念に取り憑かれていた藤姫が指揮して育てたそれは、"約束の地(カナン)"にも繋がり、"ゲーム"という共通のふざけたものの名前に隠れていた。


実際のルーツは、毒を持つ5種の虫を1つの甕に入れて共食いさせ、生き残った毒虫を蠱毒とし、相手を呪い殺すというもの。


それを応用し、人間同士殺し合う際に生じた恐怖や怨恨などを毒と見なし、生き残りを賭けたゲームを開催し…その呪力を利用しようとした人間がいたのは遠くない昔。


蠱毒を用いる呪術を、正式には巫蠱(ふこ)術と呼ぶ。


古来より、その巫蠱術を使う宗派は…


道教…その流れを汲む陰陽道。



その専門家(エキスパート)は――

――…皇城。



皇城が…何か関係があるというのか。


いや、それよりも。

この成分が…蠱毒に連なる怪しげなもので作られていたとして。


どうしてそれを飲んだ私が、七瀬紫茉の"力"となる?


同じモノを飲んでいたというのなら、私だって同格のはずじゃないか。


「紫茉を…"北斗の巫女"ってのを、君は判っていないよね…」


愉快そうに凱が言った。


「どうして朱貴が守っているのか。

どうして周涅様が動いているのか」


そして。


「どうして…紫堂久涅が出てきたか」


私は顔を強張らせた。


「何か関係あるのか!!?」


「ふふふ、それは内緒~」


聞かねばならない気がした。


だから私は――


「では…

力尽くで…吐かせる」



私は裂岩糸を、握りしめた。


< 1,085 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop