シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

夜空には光。


それは星などという感傷的なものではなく、現実的な閃光弾。

静寂などありえない、けたたましい銃撃音、爆発音。


銃弾を切り裂き、爆撃と共に…双匕首を躱す私の身体は、思うように動かないもどかしさを抱え始めた。


「いつもの…キレがないねえ、『漆黒の鬼雷』」


それに対して、凱は余裕がある。


「あいつに言って、退けさせようかな…《妖魔》」


裂岩糸が凱の頬を掠る。


「あいつって誰だ!!?」


「質問ばっかりで、中々解答に行き着かないねえ?」


凱は闇夜に哄笑した。


確かにそうだ。


今の私は凱を抑えきれないのだ。

今の私より、凱の敏捷性の方が上回っている。


追いかけるだけで体力が蝕まれる。


「それでもまあ…普通なら即入院行きの処、そんな重傷抱えて動けるのはさすがと褒めて上げる。"ジキヨクナール"…胡散臭い名前だけど、やっぱり…効く人間はばっちり効くんだね。効かない人間はさっぱりだけどさ」


そして宙でひらりと身を翻しながら、


「よかったね、一度死んでいて」


そう言った。


どくん。


私の心臓が音を立てた。


芹霞さんからそのことを聞いても、自覚がない私は…気にしないようにしていたのだけれど。


「だからって…飲ませるアノ人も凄い度胸だ。さすが最強!!!」


"飲ませる"

"最強"


「緋狭様が…紅皇が関わっているのか!!?」


すると凱は笑った。


「今更――だよ?」



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