シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「本当はね、僕…『白き稲妻』を相手をしたかったんだよ。やられたまんまにしておきたくなくて…。だけどさ、紅皇が…どうしても紫堂櫂と紫堂玲を殺したいっていうからさ。ごめんね、僕で」
緋狭様!!!
ああ――
櫂様、玲様ッッッ!!!
「あのオレンジは…BR001が相手することになってるんだ。まあ…BR001もようやく念願叶うってことか」
念願…。
「殺そうとしてるのか!!?」
ひらり、ひらり。
身軽に飛び跳ね、私の裂岩糸は彼を捉えられない。
「ソノ気なら瞬殺だろうね、今のBR002なら。だけどそれはしないと思うよ? BR001はね、夢があるんだ」
その笑みは邪悪に満ちていて。
「集めているんだ、数字持ちを」
私は目を細める。
「意味くらい…察するコトできるよね?」
まさか――
「制裁者(アリス)の復活!!!?」
私の声に、凱は大きな声で笑った。
「ありえない…!!!
煌は絶対、そんなものには戻らない!!!」
「ふふふ、それはさ…君の主観だろう?
BR002ってさ、メンタル…弱いよね」
「何を――企んでる貴様ら!!!?」
「全て…必然なんだよ、漆黒の鬼雷。見事に砕け落ちて、BR001の元に走るから。ふふふ、もう…あっちで、相対してんじゃない? ほら…気配するだろう?」
確かにこれは…煌と芹霞さんの気。
そして皇城翠と朱貴…そして、
「居るだろう? BR001」
私は――
こんなことをしている暇がない!!!
煌は戻って来た。
感傷めいた心地がしたのは、気のせいだ。
ああそんなことよりも、罠が待ち受けているならば…。
私は――
「ああ、翠様も一緒のようだ。
だったら、吐きまくらなくてよかったね」
脳裏に蘇るは…煌から吐き出された白い…。
「それも――
仕組んでいたのか!!?」
その時だった。
「奇一(きいつ)奇一たちまち雲霞(うんか)を結ぶ」
そんな玲瓏な声が聞こえたのは。