シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「そうだよ、煌!!!
あたしだって緋狭姉だって…煌が嫌なら幾度でも突き放すことが出来たんだ。だけど…そうしたくなくて!!! 皆…あんたが好きなんだよ!!?」
最早――隠しきれなくなった芹霞さんの慟哭に。
煌は静かに目を瞑り…空を見上げた。
必死に取り乱すまいとしているような…孤高の…寂寥感があった。
それを見た銀色氷皇が、言ったんだ。
「お前が手出ししたのは、親だけだと思うか!!?」
ダメダ。
コウニキカセルナ!!!
だけど私の身体は動かなくて。
「煌、聞くな、聞くんじゃない!!!」
大声で叫んだ私は咳き込んで、それを見計らったように声が続く。
「どうだ――?
もう一度その娘の胸を貫き…
その心臓を、主の前に突きだしてみろ」
「――…え?」
見開かれて怯えるその瞳。
「8年前、お前はその娘の心臓を奪った。
娘を殺したのは、お前だ!!!!」
「俺……」
芹霞さんに向けられるその瞳は弱々しく。
「煌…ねえ」
「俺が…芹霞を…俺が!!!?」
「煌、あたしの言葉を聞きなさい!!!!」
芹霞さんが怒鳴って煌の元に駆け付けた。
「あたしは生きているでしょう!!?
死んでなんかないでしょう!!?
煌!!!
しっかりしなさいッッ!!!」
しかし煌の顔には絶望感だけが浮かんでいて。
「俺…お前を殺したんだ。
――櫂や緋狭姉の前で……」
そして空笑いが響いた。
「マジ俺……仇じゃん…」
そして――
「うわああああああ!!!!」
周涅に痛めつけられても声を漏らさずに耐えた煌が、自らを破壊させるかのように叫んだ。