シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
慟哭。
咆吼。
それは、聞く者の胸を抉るような哀しすぎる叫びで。
「煌、煌!!!」
身体を揺さぶる芹霞さんの声も届かない。
「どうだBR002。
それでもお前は…紫堂櫂に忠誠を誓い、その娘を愛するのか?
その資格があるとでも思うのか?」
「やめなさいッッッ!!!」
芹霞さんが掠れた声で怒鳴りつけた。
「櫂もあたしも緋狭姉も、何があっても煌が好きなの、大好きなの!!!
真実をねじ曲げるんじゃないッッッ!!!」
何があっても…愛される馬鹿蜜柑。
私が…羨ましく思うくらい、彼は愛されている。
それに気づかないのは、愚かだ。
愚かすぎるんだッッッ!!!
「煌、流されるなッッッ!!!」
しかし私の声は――
「今更――
何もなかった顔で、戻れないよな…BR002」
悪魔の囁き程の効力を持たずに。
「お前は…何よりも大切な者達の、大切なものを奪った男だ。
そのお前が平和ボケして、幸せに生きるなんて…許されないよなあ?」
まるで、煌に憎しみを向けているかのように…その声は恐ろしく低かった。