シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
・惜別
*************
「朱貴――。
皆を…横須賀港まで連れて行けッッッ!!!」
そう叫んだ声音はいつもの煌なのに――
その瞳は…ちらちらと真紅色が混ざりつつあった。
思い出すのは2ヶ月前。
制裁者(アリス)の中核にいた藤姫により、煌は僅かな間…自意識を無くした。
櫂にはっきりと刃向かい、あたしに盛り…それを緋狭姉の腕環が元に帰した。
それは煌の暴走を制御する意味合いがあったのだとしたら…今、煌の手首には腕環はなく。
煌を制御出来るものが何もない。
「朱貴、頼むッッッ!!!」
振り返れば、朱貴が立っていた。
担いでいた凱を…乱暴に地面に投げ飛ばすけれど、凱に目覚める気配はなく。
それを見ていた銀色氷皇が、何の感慨もないような無表情さで朱貴に言った。
「ほう…そちら側につくか、朱貴。
良いのか? あの娘のことは…」
一瞬…朱貴の顔が歪んだように思えた。
あの娘…って、紫茉ちゃんのこと?
「俺は周涅に…そのオレンジの男が望む処に連れて行けと言われただけ。そいつが、横須賀港まで連れろというのなら、それは周涅の命令にも等しい」
命令――。
朱貴は…周涅の配下なの?
「それに…そいつの状態に気づけなかった俺としては、責任を感じるんでな。此処までなら…手の施しようも無い」
絶望的な台詞に…銀色氷皇はくつくつと笑う。
「当然だ。お前に判られるような、術ではない」
朱貴より凄いの、この銀色氷皇?
「何処へ行こうが俺は止めん。紫堂櫂や紫堂久涅がどうなろうと…興味もない。一緒に居たのは目的が被る部分があっただけ。
興味があるのはただ…BR002の採択のみ」
久涅と…つるんでいたのは、煌を手に入れたかったから?
制裁者(アリス)を…復活させたいから?
ああだとしたら。
煌を追い詰め、真紅の瞳にさせようとしているのは…この男のせい?
「朱貴――。
皆を…横須賀港まで連れて行けッッッ!!!」
そう叫んだ声音はいつもの煌なのに――
その瞳は…ちらちらと真紅色が混ざりつつあった。
思い出すのは2ヶ月前。
制裁者(アリス)の中核にいた藤姫により、煌は僅かな間…自意識を無くした。
櫂にはっきりと刃向かい、あたしに盛り…それを緋狭姉の腕環が元に帰した。
それは煌の暴走を制御する意味合いがあったのだとしたら…今、煌の手首には腕環はなく。
煌を制御出来るものが何もない。
「朱貴、頼むッッッ!!!」
振り返れば、朱貴が立っていた。
担いでいた凱を…乱暴に地面に投げ飛ばすけれど、凱に目覚める気配はなく。
それを見ていた銀色氷皇が、何の感慨もないような無表情さで朱貴に言った。
「ほう…そちら側につくか、朱貴。
良いのか? あの娘のことは…」
一瞬…朱貴の顔が歪んだように思えた。
あの娘…って、紫茉ちゃんのこと?
「俺は周涅に…そのオレンジの男が望む処に連れて行けと言われただけ。そいつが、横須賀港まで連れろというのなら、それは周涅の命令にも等しい」
命令――。
朱貴は…周涅の配下なの?
「それに…そいつの状態に気づけなかった俺としては、責任を感じるんでな。此処までなら…手の施しようも無い」
絶望的な台詞に…銀色氷皇はくつくつと笑う。
「当然だ。お前に判られるような、術ではない」
朱貴より凄いの、この銀色氷皇?
「何処へ行こうが俺は止めん。紫堂櫂や紫堂久涅がどうなろうと…興味もない。一緒に居たのは目的が被る部分があっただけ。
興味があるのはただ…BR002の採択のみ」
久涅と…つるんでいたのは、煌を手に入れたかったから?
制裁者(アリス)を…復活させたいから?
ああだとしたら。
煌を追い詰め、真紅の瞳にさせようとしているのは…この男のせい?