シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「煌、あたしは!!!「桜……」
煌はあたしの言葉を遮り、桜ちゃんを見た。
這いつくばるような格好で、蹲ったままの桜ちゃん。
「桜…。もう…俺は抵抗する気力…ねぇや。
俺が…気づかない内に櫂を裏切っていて…
何処から何処までも…逃れられないのなら、もう…」
桜ちゃんは黙したままで。
「この立ち位置が、櫂の力にもなれねぇ最悪のモノなら…。
俺…櫂のためには、そっちに居られねえんだ」
そして――
「だけど最後くらい…
櫂の約束、守りたいんだ…」
煌と少しの間視線を絡めた。
「きっとあいつは…決行する」
何のこと――?
「――…そうか」
先に視線を外したのは桜ちゃんで。
その諦めムードにあたしは慌てて名前を呼ぶ。
「煌――ッッッ!!」
抱きついた先の煌は…びくりと身体を震わせた後、おずおずとあたしの首筋に顔を埋めた。
ゆっくりと…柔らかい橙色の髪の…その頭を、あたしの首から滑り落とすように、大きく揺らして。
「俺…もう、お前を……
諦めるしかねえや…」
そう笑って――
あたしを突き飛ばした。