シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


あたしは――


「朱貴、小猿くん!!! 早く桜ちゃんを玲くんの元に連れて、治療させて!!!」


「え、あ…」


「早く行ってッッッ!!!」


「芹霞さん…」



「あたしは――此処に居る」


そう言った。



「あたしの代わりに…櫂を勝たせて」


桜ちゃんは――顔を哀しみに歪ませた。


「早くッッッ!!!!」


あたしの意志が固いことを見て取り、桜ちゃんは一礼して…小猿くんに支えられながら此の場を去る。



銀色氷皇と、朱貴が――

あたし達を見ていた。



「お前も行け、芹霞」


「嫌」


あたしは我武者羅に首を横に振った。


「いいから行けッッッ!!!

お前を守れるのは――」



「煌がいるでしょ!!!?

今まで通り…あたしを守ってくれるでしょうッッ!!!?」



あたしは引かなかった。


赤さを強めた褐色の瞳。


このままでは、煌は壊れる。

制裁者(アリス)に縛られたまま、あたしの煌は…崩れ落ちる。


そんな煌を見ているあたしも…崩れ落ちる。



堕ちていく――。


救いようがない、闇中に――。



そんなこと、あたしがさせない!!!

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