シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

どうしたの?

具合悪いの?



「せめて……これがなければ、まだ救いがあったかもしれないけどな。違うか。これだけであれば、俺はお前に……。

――今更、だけど」


口を手の甲で拭いながら、口惜しそうに言い捨てる煌。



そしてあたしは見たんだ。



「煌、あんた!!!?」



煌が吐いた中で、蠢く白いモノ。



「やっぱり俺ってさ、最後までキメられねえ、ヘタレだよな。

惚れた女にこんな場面見せるなん……うがっ」


増えていく。


煌から出る…白い…


――蛆。



そしてそれは…いつか見たみたいに大きくなる。


蚕に。


それを煌は偃月刀で突き刺した。


「自分で始末出来るだけ、まだいいけどよ…。

ははは…参るよな」


その顔は青白く、生気がない。


「幻覚だよ、煌!!! それは幻覚で…」


あたしは朱貴を見た。


煌から幻覚を消してくれと。


だけど朱貴は動かなかった。

その横で銀色氷皇が笑った。



それだけで判る。


判ってしまったんだ。


朱貴が消せる類のものではないと。


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