シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
ぞぞぞと…激しい悪寒がした。
それが判ったらしい煌の顔は、更に悲痛に歪んで。
だからあたしは…
その唇を舌でこじ開けた。
はしたないとか、気持ち悪いとかそんなの関係ない。
舌先の不快な感触は、煌の熱い中で…煌の舌で消してくれればいい。
いつもみたいに蕩けさせてよ。
ねえ…。
忘れさせてよ!!!
あたしは引かない。
絶対煌を離さない。
「芹……霞…」
煌は…あたしを抱きしめた。
躊躇ったようにおずおずと…そして力強く。
合わさった唇に、荒い力が宿る。
「ああ…芹霞…んんっ…俺の…」
譫言のような熱い声が漏れてくる。
「俺だけの……」
深く深くあたしの口腔内を舌でまさぐり、
あたしの中の異物を全て搦め捕ると…
「――…。
さんきゅ、な」
あたしから身体を離したんだ。
煌の目から、涙が零れている。
笑う顔は…いつものあどけない、心を許した者だけに見せる顔で。
「蛆まみれの俺に、ありがとう。
ちゃんと口…すすげよ?」
そう笑って――
あたしの鳩尾に拳を入れたんだ。