シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

「………櫂」


玲が青い光を乱発しながら、表情を凍らせて言った。



「煌の忠誠心と、お前に対する愛情を…忘れるな。

煌は単純な思考の持ち主だけど…信念だけは貫く男だ」


俺は頷きながら、緑の風の力を放出する。



「お前を助ける為に、命を投げ出せる男だ」



俺は頷いた。


「だけど――

お前も…思っているんだろう?」


「ということは…玲もか」


わざと目的語を抜かしたのは…それでも信じたくない自分が居るから。


どうしようもなく――

不安な心は…玲にも伝染している。



「ああ。僕が感じられる煌の気配は…

制裁者(アリス)のものだ」



やはり――

同じか。



「何…やってんだよ、あいつ!!!

もう少し…もう少しだというのに!!!」


玲は言葉を吐き捨てながら、青い光を…盛大に撒き散らした。


目の前には大量の敵。


桜を1人残し…横須賀に走った俺達は、予想通り…大量の雑魚達に囲まれた。


《妖魔》もなく、強い相手もいない。


ただ時間稼ぎの敵。


だけどそれは…これからの危険性を示していた。


桜を犠牲に最終地点近くまで来て、いつ出てくる?


いつ――緋狭さんは現われる?

< 1,109 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop