シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
・覚悟2 玲Side
玲Side
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「緋狭さんが現われ阻まれたら…
俺は決行する」
櫂が言い出した"切り札"。
それは以前に聞いていたものに他ならず。
それを決行させたくなくて必死に頑張っていた僕達。
だけど再度櫂の口からそれを聞いた時――
僕は一瞬躊躇ってしまったんだ。
芹霞のことを考えてしまったんだ。
芹霞を手に入れる為なら、次期当主に返り咲いてみたいと…そんな邪な…愚かすぎる思いを少しでも胸に抱いてしまっていた故に、即座に反論できなかった僕。
そんな自分の心に僕が気づいた時、激しい自己嫌悪の念に囚われた。
そんな僕に、櫂は芹霞を託したんだ。
そこまでの覚悟だと思えば良かったものを、
"次期当主"
その単語の誘惑から逃れ切れない僕は、それに乗じてしまったんだ。
「だったら僕は――
芹霞を貰うよ?」
櫂は言った。
「その時は――仕方が無い」
"その時"とはどんな時のこと?
どんな時がくればお前は芹霞を諦めるの?
――諦められるの?
何処までも…自分事しか考えられない僕は、思ってしまったんだ。
お前が諦める状況になれば、
僕は――楽になれる?
僕は――幸せになれる?
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「緋狭さんが現われ阻まれたら…
俺は決行する」
櫂が言い出した"切り札"。
それは以前に聞いていたものに他ならず。
それを決行させたくなくて必死に頑張っていた僕達。
だけど再度櫂の口からそれを聞いた時――
僕は一瞬躊躇ってしまったんだ。
芹霞のことを考えてしまったんだ。
芹霞を手に入れる為なら、次期当主に返り咲いてみたいと…そんな邪な…愚かすぎる思いを少しでも胸に抱いてしまっていた故に、即座に反論できなかった僕。
そんな自分の心に僕が気づいた時、激しい自己嫌悪の念に囚われた。
そんな僕に、櫂は芹霞を託したんだ。
そこまでの覚悟だと思えば良かったものを、
"次期当主"
その単語の誘惑から逃れ切れない僕は、それに乗じてしまったんだ。
「だったら僕は――
芹霞を貰うよ?」
櫂は言った。
「その時は――仕方が無い」
"その時"とはどんな時のこと?
どんな時がくればお前は芹霞を諦めるの?
――諦められるの?
何処までも…自分事しか考えられない僕は、思ってしまったんだ。
お前が諦める状況になれば、
僕は――楽になれる?
僕は――幸せになれる?