シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
「櫂、今はそんなことより、早く港に…」


しかし櫂は聞き入れず、桜を再度促した。


「煌は……」


逃れきれないと悟ったか、詰まったような表情をしていた桜は、僅かに唇を噛みしめながら言う。


「制裁者(アリス)に下りました」


僕も櫂も…びくっと身体を震わせた。



それは――

予想していた事柄なれど、聞きたくはなかった言葉。


「何があった?」


そう問う櫂に、


「櫂、後にしろ!!! 此処は早く――」


櫂は僕に声を荒げた。


「俺にはこのことの方が大事だ。

煌に何があった、桜!!?」


制裁者(アリス)に下ったということは、櫂と…僕達と決別したということ。


櫂の心情を思えば――

櫂の心に受けた衝撃が如何に大きいか判るだろう。



「煌は――

8年前のことを知りました」



「「何だって!!!?」」


僕達は同時に声を出して。


「銀色氷皇…BR001が現れ告げました。

芹霞さんの両親だけではなく…芹霞さん自身にもだと、芹霞さんの目の前で。

全て、煌が過去為したことは…明らかになりました」


ああ、煌――!!!


「…それだけか?」


櫂が訊いた。


「それだけで煌は――制裁者(アリス)に下ったというのか?」


まるで尋問のような語気で。


「煌は――

知らずに、敵に操られていました。

だから――」


櫂はきゅっと口を結んだ。
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