シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
僕は、力を極限まで高める。
空からは紫堂の警護団。
「翠、櫂様と行けッッッ!!!!」
「葉山……」
「早くッッッ!!!」
敵の気配が最高潮になる。
来るッッッ!!!
「桜、死ぬなよ…?」
「はい。玲様も…お体気をつけて…」
そして桜は夜空に舞い、裂岩糸を放つ。
僕は――
「――簡単に、行かせると思うか、坊?」
櫂の目の前に、音もなく姿を現した緋狭さんに、
「櫂を――
行かせて下さい、紅皇ッッッ!!!」
しかしその懇願は、
「否」
一言で却下されて。
どんな懇願も泣き落としも…効かない状況なのだと、そこまで現実は切羽詰った厳しいものだと…再認識させられて。
そこには彼女特有の悪い冗談はなく。
気味悪い程、無表情で。
灼熱の中、彼女の顔つきだけが冷え切っていた。