シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
矛盾。
どこまでも違和感を残した彼女に、それを問い質す余裕は何もなく。
ちらりと一瞬、彼女と視線を絡ませた櫂は何を思ったんだろうか。
ああ、だけど今。
そんな悠長なことは言ってられないんだ!!!
僕は彼女に言った。
覚悟をしていた言葉を。
「紅皇、僕が――
お相手しますッッッ!!!」
そして身を反らせながら、力を向けたんだ。
一瞬だけでいい。
僕が彼女を足止めさせられれば。
櫂から目をそらしてくれれば。
だから僕は、無謀を承知で宣誓し、実行に移したんだ。
すべての私情を封印して。
僕の――
敬愛すべき師匠に。
僕を助け続けくれた――
愛する少女の姉に。
最終地点はもうすぐそこ。
残り時間は…10分を切った。
舞台は炎に包まれた、灼熱地獄。
相対するのは、かつての部下だった紫堂の警護団。
そして――最強の紅皇。
最後の闘いが――
始まったんだ。