シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
視界に拡がった僕の青い電気の力は、指をパチンと鳴らした緋狭さんによって簡単に弾かれる。
凌ぎきれるとは思っていなかったけれど、あまりのあっけなさに僕はショックを隠しきれなかった。
片手を使うまでもなく…指先で終わらせられてしまう僕は、何と矮小でちっぽけな存在なのか。
煌や桜のように、実戦に備えた鍛錬を日課にしていたわけではないけれど、それでも我武者羅になっている時くらい…もっと手応えが欲しい。
僕が此処に存在する意義が欲しい。
闇雲に力を放っても、緋狭さんの表情を崩すことすら出来ない。
緋狭さんの視線をこちらに向かせることすら出来ない。
緋狭さんは…櫂だけを見ている。
かつて慈愛を宿していた神秘的な黒い瞳は、今は無情な…底なしの闇に包まれたかのように冷たくて。
緋狭さんと芹霞の姿がダブる。
櫂だけに向けられているその瞳。
どうしても振り向かせたいその瞳。
僕は居る!!!
此処に居る!!!
まるで親の愛を強請(ねだ)る子供のように、我武者羅に…解放した電気の力を向けた。
どうか僕を。
僕を見て。
しかし緋狭さんを振り向かせられない僕は、青い光を宿した手を突き出し、体術に切り換えた。
かつて緋狭さんから習った僕の体術。
――お前は、もがくことをしらないのが難点だな。
無難にこなしてきた僕は、今はもがいている。
ねえ、今の僕はどうですか?
以前より強くなれましたか?
それは身体と身体の会話。