シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


「――…坊」


僕達は、緋狭さんを必死の形相にすらさせることが出来ない。


「大人しく…ここで殺られろ」


緋狭さんは…低い声音で言った。


「判っているだろう?

勝負に負けた途端、お前は嬲り殺しに遭う。


今でさえ、"奴"に遊ばれているお前は…拷問以上の"屈辱"による死を与えられる」


緋狭さんは淡々という。


「芹霞だけではない。

お前は…死ぬよりも辛い目に遭う。


それは嫌だろう?

だから…今、此処で死ね」


火力が増し、僕の結界がびりびり震えて悲鳴をあげた。


「櫂様、玲様!!!!」


その時、桜の声がして。



「行け、金翅鳥(ガルーダ)!!!」


夜空に、桜の悲鳴が聞こえた。


「桜、桜ッッッ!!!!」


落下した音。


だけど僕は振り向くことすら出来ず。


「桜ッッッ――!!!」



僕の叫びに呼応するように、金翅鳥(ガルーダ)が…まるで勝ち鬨のような雄叫びを上げた。


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