シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


「痛くないよう、せめてひと思いに殺してやる。

坊…言うことを聞け」


櫂は――


「玲に言われました。

最後までもがけと。

だから…俺は玲を裏切れない」


緋狭さんはそれに対して何も答えない。


僕の…溜めていた電気の力が失われていく。


結界が…弱くなっている。


空には金翅鳥(ガルーダ)。



どうすればいい?

僕はどうすればいい?


櫂を生かすことも出来ない、無力な僕は何が出来る?

力を尽かす僕は…何が出来るという!!?


僕は背中を踏み付けられて身動きとれないまま、唇を噛みしめた。



"まだ"か?

"まだ"なのか?



その時――


港の…海の方角で何かが光る。


緋狭さんが…そちらに顔を向けたのが判った。


そして反対側では――



大きな丸を両手で作って、飛び跳ねる女の子。



「間に合ったか!!!」



そして、辺りは突如明るくなる。


消えていた照明が、一斉に付いたんだ。


埠頭だけではない。


付近の――

街並みの全てに明りが灯る。
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