シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
・
緋狭さんには緋狭さんの事情があるんだろう。
だから敵に回った。
だけどそこに…紅皇としてではなく、襦袢姿を再び披露した緋狭さんの"意味"をも同時に考えるならば。
彼女が敵となり俺を殺そうとしていることに、意味を持たせないといけない。
俺が死ぬということが必然の事象というのなら、そうあるべきだと"導いてきた"緋狭さんの行動は常に必然で。
そう。
緋狭さんが意図的に、俺の敵に回ったというのなら。
恐らく緋狭さんは、俺が切り札に行き着くだろうことを見抜いている。
見抜けないのはおかしい。
実際俺は――
緋狭さんの言葉にヒントを得て、切り札に思い至ったのだから。
そして緋狭さんは――
覚悟しても覚悟しても…それでもまだ惑う俺を看破している。
だから、緋狭さんは来たのだ。
躊躇させる"未練"を――
全ての柵(しがらみ)を断ち切らせるために。
迷いの決着をつけて、強制的に"虚無"に戻す為に。
それは自分でやるよりは遙かに劇的で、遙かに確実。
それでも――
五分五分の成功率は…変わらないんだ。
――芹霞ちゃあああん!!!
視界の先には、船から下りた親父と氷皇の姿。
歓迎されていないのは、親父の立ち姿で判る。
必死に走る俺が行き着くというのに。
勝負に負ければ俺はどうなるのか判らないと知りながら…それでも俺を受容する気配はなく。
俺は――
見放されていることを知る。
緋狭さんには緋狭さんの事情があるんだろう。
だから敵に回った。
だけどそこに…紅皇としてではなく、襦袢姿を再び披露した緋狭さんの"意味"をも同時に考えるならば。
彼女が敵となり俺を殺そうとしていることに、意味を持たせないといけない。
俺が死ぬということが必然の事象というのなら、そうあるべきだと"導いてきた"緋狭さんの行動は常に必然で。
そう。
緋狭さんが意図的に、俺の敵に回ったというのなら。
恐らく緋狭さんは、俺が切り札に行き着くだろうことを見抜いている。
見抜けないのはおかしい。
実際俺は――
緋狭さんの言葉にヒントを得て、切り札に思い至ったのだから。
そして緋狭さんは――
覚悟しても覚悟しても…それでもまだ惑う俺を看破している。
だから、緋狭さんは来たのだ。
躊躇させる"未練"を――
全ての柵(しがらみ)を断ち切らせるために。
迷いの決着をつけて、強制的に"虚無"に戻す為に。
それは自分でやるよりは遙かに劇的で、遙かに確実。
それでも――
五分五分の成功率は…変わらないんだ。
――芹霞ちゃあああん!!!
視界の先には、船から下りた親父と氷皇の姿。
歓迎されていないのは、親父の立ち姿で判る。
必死に走る俺が行き着くというのに。
勝負に負ければ俺はどうなるのか判らないと知りながら…それでも俺を受容する気配はなく。
俺は――
見放されていることを知る。