シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 


「柔らかな処女の柔肌は、蹂躙に相応しい味付けだった。吸い付けばすぐ赤く染まり、過敏に反応する。中々の上玉だった。たっぷりと堪能させてもらったぞ? 俺に捧げ物をすまんな」


俺は――


「この下衆がッッッ!!!!」


怒りが理性を瞬時に超える。


「な、なななな!!!!」


芹霞の声が…突如くぐもった。


視界に横切った影が、拳を作ってこちらに駆け寄ろうとした芹霞を奪ったんだ。


朱貴、だった。


その手に口と拳を押さえられ、真っ赤な顔で芹霞はうーうー唸っている。


真剣にこちらを見ているその目を見れば判った。


だから俺は――。


「ははは。3時間もあって…あれだけ啖呵切った"小娘"にその実拒まれ、何の成果がないまま…ノコノコ此処にきたのか」


それは、精一杯の俺の強がり。

何もなくてよかったと、気が弛んでしまうことへの防護策。


「ざまあないな、久涅」


久涅の顔つきが変わった。


ふっと姿勢を落として、俺の心臓目掛けて繰り出される手刀。


それを手で払い、その反動で身体を反転させ攻撃から逃れた俺は、こちらを見上げる皇城翠に視線を送る。


翠はこくりと頷き、懐から黄色い紙を取り出した。


「水の符呪!!!」


途端――

港の…海水が、竜巻状に渦巻いて、天高く伸びたんだ。
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