シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
もしそうなのだとしたら、それは俺の器量ではない。
煌や玲や桜や芹霞や遠坂、そして七瀬の。
彼らの優しい想いが伝染しただけだ。
そしてその思いが、力となっているのだろう。
彼の真摯な…"必死"さは、血統に相応しい力を開花させるのだろう。
見事だと、天晴れだと…
思わせるに十分な…水の力。
「行って、勝負に勝てッッ!!!
ワンコを連れ帰せッッッ!!!!」
煌…。
懐かれたようだな。
本当にお前は、誰からも好かれる奴だ。
こみ上げる笑いが、俺の心を固くした。
この勝負――
俺は勝ってやる。
俺の大切な仲間の…心も身体も傷つけた報復は、必ずしてやる。
利用ばかりされて終わりになんてさせやしない。
その為には、縛られてばかりいる今の俺では不十分で。
今のままではお前達を、芹霞を…守りきれないんだ。
ああ…それは――
――約束、して欲しいんだ。
お前たちに言っていたっけな。
もうこれは、俺個人の問題ではない。
表層的なものではなく、深層に根付く"陰謀"を丸ごと、潰さないと…お前達も殺される。
そんなこと…させやしない。
だから俺は――
守る強さを得る為に俺は――。
――坊は、死なねばなりませぬ。
そして。
これは恐らく――
俺だけにしか出来ないこと。
ならば――
"それ"は華やかに。
絶対的な確信を抱かせるまで完璧に。
俺は――
切り札を決行する。
その為には――
――坊は、死なねばなりませぬ。
この場に緋狭さんは、必要なんだ。