シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「走れッッッッ!!!!」
久涅の無効化の力が勝れば、俺は近くて遠い…目的地に行きつかないだろう。
しかし翠の貫通化の力が勝れば、俺は――。
それでも俺は――。
――坊は、死なねばなりませぬ。
俺は走る。
轟音。
久涅の舌打ち。
俺は――
我武者羅に走ったんだ。
俺の未来を賭けて、勝負に負けるわけにはいかないと。
ただ必死に。
髪を振り乱し、汗を垂れ流して。
無駄な足掻き、無駄なもがき。
笑いたいなら笑えばいい。
なんとでも言え。
俺を蔑む限り、俺の道は切り拓かれる。
完璧主義を誇る『気高き獅子』の名が、今の俺には似合わないのなら。
最後に笑うのは――
――…俺だ。
その油断こそが、俺の…本当の意味での…血路なんだと、俺は思った。