シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
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「な……に?」
眩い光に、思わず目を細める。
――昼になったの?
だけど何か違和感を感じる。
見慣れた…太陽の光じゃない。
もっと別な…泣きたくなるくらいに綺麗な輝き。
空が…金色に光っていた。
その空の中に、遠目でさえはっきりと判る・・・燃えるような色合いの、神々しく思う鳥が翼を広げて旋回していた。
甲高い鳴き声も聞こえる。
何あれ!!?
どんな奇天烈な光景を目にしようとも、大して心動かされない…そんな経験をしていたあたしでさえ、その雄大な光景はかなり衝撃的で。
それは恐怖とは縁遠い感情。
見ていて――
ほろりと涙が流れた。
それくらい感動的な光景だったんだ。
「気付いたか」
低い、抑揚のない声音。
見下ろせば、地面までは距離がある。
ふわふわとした煉瓦色の髪の毛が、腕の肌を掠めてくすぐったい。
…甘い微香が鼻に漂う。
「朱貴!!?」
あたしは…朱貴の肩に担がれながら、移動していた。
女の子ならお姫様抱っこが望ましいのだろうけれど、あまりいい思い出が無いあたしにとっては、こちらの方がありがたかった。
だけど別にそうして欲しいと願っているわけじゃない。
何でこんな状況?
朱貴と会った最後の記憶を辿れば――
――今までありがとうな、芹霞。
「――…!!!
煌は――!!!?」
突如激しく動き出したあたしに、依然速度を緩めずにしっかりと歩みながら、朱貴は言った。
「あいつは…制裁者(アリス)に行った」
何の感慨もなく。
あれは――夢じゃなかったんだ!!!