シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
体中の体温が急激に下がるのを感じた。
あの場面に救いの出口などなく…そうあたしはただ円環の道を巡っていただけで、現実は尚もあたしに付き纏っていることを思い知る。
「嘘、やだ!!! 煌を、煌を連れ戻さなきゃ!!!!」
じたばたともがくように手足を動かすあたし。
「無駄だ」
ぴしゃりと。
無慈悲な…冷たい言葉が響き渡る。
「無駄じゃないッッッ!!! あたしはやらなきゃいけないのッッッ!!!」
あたしと煌の絆は、そんなに簡単に終わるものではない!!!
「では、紫堂櫂はどうする!!!?」
荒げられた声と共に、あたしは地面に放られた。
「あたしは、煌と一緒に櫂を助けるのッッッ!!! どちらかを選ぶなんてそんなのありえないッッッ!!!」
「ありえなくても…あの橙色の男は、判っていたぞ?」
「え?」
「今のままのあいつなら、紫堂櫂を守れない。だから…決断した」
「はあああ!!? 何よ、それ!!!」
「制裁者(アリス)に赴いた理由は何だと思う?
8年前のこと。現在のこと。現在のあいつの状況から考えられる絶望的な未来…だと思うか?」
その言葉は辛辣すぎて、あたしの目からぽろぽろと涙が零れる。
絶望的な未来。
その言葉が何より、心に痛かった。
8年前のことは過去として背を向けることは出来る。
現在のことも…自意識がなかったんだし。
だけどこれからのことは、煌にとっての救いの可能性を秘めるもの。
煌にとって、過去を"贖罪"として昇華できる…そう、"未来"は煌にとっての"救済"となりえたはずだった。
その望みが、絶たれてしまったんだ――。