シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
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再び強制的に朱貴の肩に担がれ、怪しげな裏道を通り、すぐに港付近に行き着いた。
あたしはこんなに簡単に港に行き着くというのに、櫂にとっては酷く長い距離。
あたしが先に行き着いても、何の解決にもならなくて。
口惜しさに唇を噛む。
そんな消沈気味のあたしを出迎えたのは、
「はろはろ~」
更にげんなりさせるだけの、胡散臭い青色。
この冷たい色合いは――氷皇、瀬良蒼生に間違いなく。
赤銅の周涅ではない。
それにほっとしていいのか、嫌がらないといけないのか判らず、何とも微妙な心持ちだったけれど。
「判っているね、朱ちゃん。手出し無用だからね?」
前もって釘を刺す蒼生ちゃん。
つまり――
朱貴の強さは、櫂の為に役立てることは出来ないということ。
「芹霞ちゃんも見てればよかったのにさ~。アカと、カイクン…というよりレイクンの戦い。レイクン頑張ってたよ~。ほら、ほんのりと…押されまくっている青い光がみえるでしょ? 無謀な戦いって、見ていて微笑ましいよね~」
"無謀"
ああ、殴り倒してやりたい。
玲くんは、きっと櫂の為にまた身体を張っているというのに!!!
その時、一斉に辺りの照明が付いた。
「何!!?」
金色に混ざる、人工的な閃光。
何とも違和感残るちぐはぐなものの融合。
「あははは~。気付いたのか~。レイクン…えらいえらい」
この"何でもお見通しよ"みたいな、馬鹿にしたような口調に心底イラッとくる。
それにあたしは、そんなお喋りをしたいわけではない。
そんなことより聞きたいこと、問い質したいことは山にあるんだ。
向き直って口を開きかけた時。
「お口、チャ~~ックッッ!!!」
横一文字に結ばれた唇の上に、蒼生ちゃんの摘んだような形の手が横切った。