シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「このゲームの目的はね、カイクンが如何に物事を見通せるのかにかかってる。目先のことだけに囚われて、必死にもがいてゴールに辿りつくようであれば…それだけの価値しかない、ちっちゃなちっちゃなカイクンだということさ。俺から言えばね、"この蛆虫が!!!"…って感じ?」
「どういうことよ!!!?」
「お口、チャ~~ック!!!」
く~~ッッ!!!
そして――
「これはね、何処まで…騙されるかが主題(テーマ)なんだよ?」
「主題って「お口、チャ~~ック!!!」
もういや~~ッッ!!!
この男何とかして~~ッッッ!!!
その時、突然あたりが暗くなった。
光が見えない。
どうしたの、ねえ…。
玲くん?
櫂?
桜ちゃん?
気付けば隣に居た蒼生ちゃんが居ない。
「い、いつの間に!!?」
離れた所にある…唯一照明がついている大きな船から降り立った、初老の男性を出迎えていた。
顔が見えなくとも判る。
あれは――
櫂のお父さんだ。
あたしは慌てて腕時計を見た。
時間まで、まだある。
櫂。
早く、ねえ早く!!!
祈るように櫂の名前を心で叫んでいたら、声がした。
「ほう…? 紫堂櫂の成仏でも願っていたか、小娘」
あたしは…ぷいと横を向いた。