シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「何処に…何処に行ったの!!?」
白昼夢!!?
しかし"それ"が、夢でないことを語っている。
"それ"――
血色の陥没は拡がったまま。
「櫂様、玲様!!!」
気付けば、桜と煌が戻ってきていて。
敵たる蝶の気配もないのに気付いた僕は、結界を解いてみる。
やはり…蝶の姿は何処にもない。
「あの黄色い男を、殺ったのか?」
だから蝶は去ったのだろうか。
すると桜が気まずそうに頭を垂れた。
「申し訳ございません、玲様、櫂様。
敵から目を離した一瞬で、逃げられました」
「お前が?」
桜は頷いた。
電光石火の桜が、敵の動きを見逃すことは過去にはないことで。
ましてや、今は緋狭さんの元で修行の身で。
「あれ、なんだコレ…って、あの小猿と七瀬が見てた鏡?」
煌が地面に落ちていたらしい、何かを拾ってきた。
手の平に乗るサイズの鏡で、かなり年期が入った物。
青銅製の枠には何かの刻印。
「北斗…七星?」