シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 


「何処に…何処に行ったの!!?」


白昼夢!!?


しかし"それ"が、夢でないことを語っている。



"それ"――


血色の陥没は拡がったまま。




「櫂様、玲様!!!」


気付けば、桜と煌が戻ってきていて。


敵たる蝶の気配もないのに気付いた僕は、結界を解いてみる。


やはり…蝶の姿は何処にもない。


「あの黄色い男を、殺ったのか?」


だから蝶は去ったのだろうか。


すると桜が気まずそうに頭を垂れた。


「申し訳ございません、玲様、櫂様。

敵から目を離した一瞬で、逃げられました」


「お前が?」


桜は頷いた。


電光石火の桜が、敵の動きを見逃すことは過去にはないことで。


ましてや、今は緋狭さんの元で修行の身で。


「あれ、なんだコレ…って、あの小猿と七瀬が見てた鏡?」


煌が地面に落ちていたらしい、何かを拾ってきた。


手の平に乗るサイズの鏡で、かなり年期が入った物。


青銅製の枠には何かの刻印。


「北斗…七星?」
< 117 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop