シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
・座席
**************
「玲…お前、随分とご大層な車の趣味してるんだな」
渋谷駅前、公衆トイレに突っ込みそうな勢いで、止まっていた青い車。
どうやら玲くんは、この車でお迎えにきてくれたらしい。
「判ってて言うなよ櫂。僕の趣味じゃないよ、この色」
何とも艶めかしい曲線美。
すごく上品で優美で…玲くんの雰囲気とよく似ている。
決して安価なものではないだろうが、あたしにはこのエンブレムを見ても、何という車種なのかさっぱり判らない。
「アストンじゃん」
目をきらきらさせて言ったのは煌で。
煌でさえ判る車を、あたしが判らないのは何か悔しい。
「煌は車好きだったっけ?」
玲くんが苦笑すると、
「この車は特別。俺の憧れ」
へえ。
煌も男の子らしい処があったんだ。
唯のワンコではなかったらしい。
「なあ玲。何処から武器出てくるんだろ」
武器?
「内部はどんなコンピュータ仕立てなんだろ」
コンピュータ仕立て?
「何だよ、芹霞は気がつかねえのか!? アストン・マーティンと言えば『007』、ジェームスボンドが乗ってるあのハイテクボンドカーじゃねえか。現物見たのは初めてだけど、見た目普通の高級車だよな、やっぱし」
そういえば。
煌はジェームスボンドのファンだった。
鍛えられた肉体とド派手なアクションが、彼の"漢(オトコ)"のツボに嵌るらしい。
「玲…お前、随分とご大層な車の趣味してるんだな」
渋谷駅前、公衆トイレに突っ込みそうな勢いで、止まっていた青い車。
どうやら玲くんは、この車でお迎えにきてくれたらしい。
「判ってて言うなよ櫂。僕の趣味じゃないよ、この色」
何とも艶めかしい曲線美。
すごく上品で優美で…玲くんの雰囲気とよく似ている。
決して安価なものではないだろうが、あたしにはこのエンブレムを見ても、何という車種なのかさっぱり判らない。
「アストンじゃん」
目をきらきらさせて言ったのは煌で。
煌でさえ判る車を、あたしが判らないのは何か悔しい。
「煌は車好きだったっけ?」
玲くんが苦笑すると、
「この車は特別。俺の憧れ」
へえ。
煌も男の子らしい処があったんだ。
唯のワンコではなかったらしい。
「なあ玲。何処から武器出てくるんだろ」
武器?
「内部はどんなコンピュータ仕立てなんだろ」
コンピュータ仕立て?
「何だよ、芹霞は気がつかねえのか!? アストン・マーティンと言えば『007』、ジェームスボンドが乗ってるあのハイテクボンドカーじゃねえか。現物見たのは初めてだけど、見た目普通の高級車だよな、やっぱし」
そういえば。
煌はジェームスボンドのファンだった。
鍛えられた肉体とド派手なアクションが、彼の"漢(オトコ)"のツボに嵌るらしい。