シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「早く、車に乗れ!!!
――後ろに!!!」
あたしは、声を荒げる櫂を無視して。
煌と桜ちゃんの視線を感じる。
だけどあたし――
はっきりさせたいんだ。
こんな処でだけど。
だけど、はっきりさせないと、今後の関係に影響が出るから。
そう思ってしまったことを、ないものに出来ないから。
曖昧なままでいたくない。
「ねえ、玲くん――」
あたしは、玲くんに向き直った。
端麗の顔からは、微笑みが一切消えていて。
酷く真剣な面差しで。
その真摯さ故に、どきりとする。
「芹霞!!!」
あたしの腕を掴んだ櫂の手を振り払い、あたしは思い切って聞いてみる。
「玲くん。
あたしのことずっと――」
玲くんの喉仏が、何かを呑み込んだように上下に動く。
「異性と思ってなかったの!!?」
「は?」
玲くんから返ってきたのは、間抜けたような彼らしからぬ声。