シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

「やっぱりあたし…女の子らしくないんだね。確かにがさつだし、男っ気ないし。煌といつも殴り合いやっていたし。

玲くんの指導で、あたしもいくらか女の子らしくなったと思ってたけれど、実は全然まだまだだった?

玲くんは優しいから本当のこと言えないでいたんでしょ?

いいよ、はっきり言って。あたし…悪いとこ直して、女の子らしくするから。玲くんの教えを無駄にしないから。

"特別"手のかかる奴でごめんなさい」



そう――…

真面目に言ったのに。



「ぶははははは」


沈黙が流れた場の空気を切り裂いたのは、煌の爆笑。



「はははははは」


そして櫂の爆笑。



え?


何?


ウケるとこ?


桜ちゃんも、テディベアを抱く手が揺れていて。


「どうして、ねえどうして皆笑うの?」


あたしは逆に泣きたくなってきて。


玲くんに視線を戻せば、


「――…はあ」


片手で顔を覆うように俯き、傍目から見て判るくらいの大きな溜息をついていて。


「れ、玲くん?」


玲くんはもう1つ溜息をついて、顔を上げた。


「自覚させることがまず必要だね」


「????」


にっこり。


途端に背筋に駆け上る悪寒。


「期待させるだけさせて、ね。ふふふ。

第一関門突破できたかと思ったんだけどね、ふふふふふ」


玲くんのお顔が"えげつない"。


「みっちり――

"女"を教育してあげるから」


ああ、そこまであたしは、女らしくなかったのか。


凹むあたしの周りで、櫂と煌が顔色変えていたのには気付かなかった。



< 126 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop