シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「やっぱりあたし…女の子らしくないんだね。確かにがさつだし、男っ気ないし。煌といつも殴り合いやっていたし。
玲くんの指導で、あたしもいくらか女の子らしくなったと思ってたけれど、実は全然まだまだだった?
玲くんは優しいから本当のこと言えないでいたんでしょ?
いいよ、はっきり言って。あたし…悪いとこ直して、女の子らしくするから。玲くんの教えを無駄にしないから。
"特別"手のかかる奴でごめんなさい」
そう――…
真面目に言ったのに。
「ぶははははは」
沈黙が流れた場の空気を切り裂いたのは、煌の爆笑。
「はははははは」
そして櫂の爆笑。
え?
何?
ウケるとこ?
桜ちゃんも、テディベアを抱く手が揺れていて。
「どうして、ねえどうして皆笑うの?」
あたしは逆に泣きたくなってきて。
玲くんに視線を戻せば、
「――…はあ」
片手で顔を覆うように俯き、傍目から見て判るくらいの大きな溜息をついていて。
「れ、玲くん?」
玲くんはもう1つ溜息をついて、顔を上げた。
「自覚させることがまず必要だね」
「????」
にっこり。
途端に背筋に駆け上る悪寒。
「期待させるだけさせて、ね。ふふふ。
第一関門突破できたかと思ったんだけどね、ふふふふふ」
玲くんのお顔が"えげつない"。
「みっちり――
"女"を教育してあげるから」
ああ、そこまであたしは、女らしくなかったのか。
凹むあたしの周りで、櫂と煌が顔色変えていたのには気付かなかった。