シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「頑張ってね、櫂」
意気込んで声をかけると、櫂は眉根を寄せた。
「そんなに思い悩まなくても、絶対上手く行くから」
あたしは両手拳に力を入れて励ます。
「あたしが保証してあげる」
「お前…俺が今何を考えているのか、本当に判っているのか?」
それは何とも神妙な面持ちで。
「うん、ばっちり。櫂が憂うことなんて1つしかないじゃない」
すると櫂は少し考え込むような様子を見せた。
「大丈夫、出来るって言葉にすれば必ず現実になるんだって。それが言霊という力だって、遊園地で久遠から教えて貰ったの。
それに天下無敵の櫂なんだし。あたし、名誉挽回できると信じているから。滅せよ、氷皇!!!」
「…そっちかよ」
櫂は詰るような眼差し向けて、わざとらしい溜息をついた。
「そっちって?」
「……いや」
しかしまた櫂は溜息をついて。
そして、頬を抓られた。
「なにしゅんのよ~」
慣れたとはいえ、痛いものは痛くて。
両手をばたばた動かして抵抗した時、櫂の手がようやくあたしの頬から離れた。
「玲が…腹を括(くく)ったようだ」
櫂の漆黒の瞳が、真剣な光を宿す。