シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

「俺だけの"お姫様"でいてくれないか?」


不意に――


「いい加減、俺だけを――」


櫂の…吸い込まれるような色気が発動されて。



「お前の"王子様"にしてくれないか?」




加えて、8年前のような、縋るような瞳を向けられて。



「流すなよ。

もっと考えてくれよ。


俺は――


お前が…好きなんだ」



熱が込められた瞳。


熱に浮かされたような、掠れた声。


考えずにいようと思っていたことが再現される。


櫂とは今まで通りの永遠でいたいから。


何かが変わらないよう、あえてそこに触れず…触れさせず、現状維持させているのがやっとで。


櫂に強く求められて、好きだと言われたのは。


嫌じゃない。

嬉しかった。


だけどそれは、櫂が求めるものと同じかどうかは判らなくて。


櫂があたしを恋愛対象として見ていてくれても、

あたしもそうだと言い切る自信はなく。


"好き"が食い違ってしまえば、


"永遠"の環は…途切れてしまうの?


それが不安で。

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