シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


「芹霞早く乗れ!!!」


いら立ったような煌の声。


櫂は――


反対側の窓に顔を向けていて。


今どんな表情をしているか判らない。


玲くんが運転席に座り、ラジオの番組をニュースに変えた。


淡々と喋る男性アナウンサーの声が、やけに遠くに聞こえる。




何だろう、この居たたまれない空気。


判るのは。


原因はあたしだということ。




そんな時だった。




『現場から中継です。新宿区にある超高級マンション『エンペラー』から出た火は、まだ烈しく燃え続けています』



「「「『エンペラー』」」」


あたしと櫂と煌が、同時に声を出した時、玲くんは鳴り響く携帯に出ていて。



「あ、由香ちゃん? ごめん、これから家に…え? 聞こえない。……。えええ!!?」



そして玲くんは――



「やばい、櫂!!!


家が全焼らしい!!!」




そう、強張った顔で叫んだ。


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