シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
――玲くんが"おでかけ"実行してくれないなら、やっぱあたしが踏み込むしかないよね。


今の関係を発展させようとする芹霞は、俺に対しては現状維持のまま。


俺自身、更なる展開に踏み込むタイミングを逃していたのもある。


だけど、俺の前でそんなことを言わなくてもいいだろう?

少しくらい…意識してくれてもいいだろう?


――どうみても、恋愛初心者のあたしをただからかって遊んでいるだけだって、櫂だって判るでしょう?


芹霞の鈍感さが今の救い。


玲は、捨て身になっても芹霞を手に入れようとしている。


たとえ気狂いの血が目覚めても、それでも芹霞が欲しいと。


芹霞に、特別な立ち位置になって欲しいと。


あとは芹霞の意思だけで、既に受け入れる準備は出来ているのだと。


俺の前で、そう宣言しているのだから。


煌も気づいているだろう。


玲の変化を。


どうして芹霞は1人しかいないのか。


俺だって芹霞が欲しいんだ。


ずっとずっと欲しくて仕方がないんだ。


芹霞だけは。



たとえ玲を傷つけても――


譲るわけにはいかない。
< 137 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop