シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
――玲くんが"おでかけ"実行してくれないなら、やっぱあたしが踏み込むしかないよね。
今の関係を発展させようとする芹霞は、俺に対しては現状維持のまま。
俺自身、更なる展開に踏み込むタイミングを逃していたのもある。
だけど、俺の前でそんなことを言わなくてもいいだろう?
少しくらい…意識してくれてもいいだろう?
――どうみても、恋愛初心者のあたしをただからかって遊んでいるだけだって、櫂だって判るでしょう?
芹霞の鈍感さが今の救い。
玲は、捨て身になっても芹霞を手に入れようとしている。
たとえ気狂いの血が目覚めても、それでも芹霞が欲しいと。
芹霞に、特別な立ち位置になって欲しいと。
あとは芹霞の意思だけで、既に受け入れる準備は出来ているのだと。
俺の前で、そう宣言しているのだから。
煌も気づいているだろう。
玲の変化を。
どうして芹霞は1人しかいないのか。
俺だって芹霞が欲しいんだ。
ずっとずっと欲しくて仕方がないんだ。
芹霞だけは。
たとえ玲を傷つけても――
譲るわけにはいかない。