シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
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ずきん。


突き詰めて考えようとすれば、すぐ頭が痛くなる。


馬鹿だからだろうか。


下手に脳味噌使うと、ショートしちまう警告か?


ずきん。


――芹霞ちゃあああん!!


これは――誰だ?


泣いてばかりいる…見るからに弱々しい幼い少年。


誰かの庇護がなければ、死んでしまいそうな少年。


ずきん。


――芹霞、しっかりしろ!!!


なんで、聞こえてくるのか。



これは――

緋狭姉の声?


こんな焦りまくった緋狭姉の声、聞いたことねえ。


いや…聞いた覚えある?


何かの輪郭が見えそうで。


だけどすぐぼやけては消えていく。


思い出したい。

思い出したくない。


そしてはたと思う。


どうして、"思い出す"に納得してんだ?


どうして、くだらん幻覚だと思わねえんだ?


凄く――

気持ちが悪くて。



――芹霞ちゃあああん!!!




「大丈夫か、煌?」



目の前には、漆黒の瞳。


強くて、もの悲しげな…

憂いの含んだ眼差し。

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