シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
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「体力自慢なのに顔色悪いね。…部屋で休んできたらどうだ?」


鳶色の瞳も、心配気で。


同情されるのは癪だけれど、心配してくれる人間がいるっていうのは素直に嬉しい。


俺は1人じゃねえって思えるから。


ああ、最近俺…寂しがり屋だ。


――あんた、ハードボイルドはどうしたのよ?


目指すは今も尚"漢(オトコ)"!!!


だけど現実はシビアすぎて。


認めたくはねえけど、ワンコ化しているような。


「煌は猫舌じゃないよね?」

「何言わせたいんだよ、玲」

「ん? 別に?」


目の前に、玲が熱い茶を置いた。


結局。


俺と芹霞しか知らないはずの茶葉の在処は、櫂によって玲にも曝された。


こんな些細なことでも、櫂が当然のように知っていることが、俺の気分を沈ませる。


櫂が聡いからとかそんな理由ではなく、芹霞との仲を見せつけられた気がして。


俺と芹霞は8年間、この家で暮らしている。


櫂は更に遡ること4年間。


俺の知らない処で、俺の知らない芹霞と暮らしていたんだ。


そう思ったら――

疎外感感じてやりきれなくなる。


やっぱ俺の前には、いつも櫂が立ちはだかっている。


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