シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
気付けば1日何回も、玲くんと連絡を取り合っていて。
――神崎~。師匠とラブラブだね~。
三日月目の由香ちゃんにからかわれた。
そんなこんなで今日で3日目。
相変わらず桐夏では女生徒に集団で追い回され、喧騒に疲れ果てた身体を少しでも癒そうと、放課後を待ちに待って待ち合わせ場所に立てば榊さんが出現するし、ちっとも落ち着いた心地がしない。
学校帰りに渋谷で待ち合わせをしてると玲くんにメールをした途端、榊さんが現れたのを考えれば…彼の出現は偶然じゃないと思うけれど。
そんな時。
「待たせたな、芹霞!!」
名前を呼ばれて振り返れば――
「あ、紫茉(シマ)ちゃん!!」
あたしが待っていた美少女、七瀬紫茉ちゃんがそこにいて。
長い黒髪を1つに結い、凛とした強い眼差しが印象的だ。
背は高く、すらりとしていて…大人びた綺麗な顔立ちをしている。
「間違って反対側のハチ公に出てしまったんだ。どうもまだあたしは、東京という地に慣れていないらしい」
快活に笑う紫茉ちゃんは、初対面の時から男言葉。
こんなに美少女なのに…性格も男みたいにさばさばとしていて、真っ直ぐ人の目を見て話す。
東京に出てきたばかりらしく、世俗慣れしていなくて…何か無性に惹かれるものがあり、あたしは一目で気に入ってしまった。
「ええと…そちらさんは…」
「唯の暇人ストーカーの榊さん」
「……。ストーカーの、遠坂榊です。よろしくお願いします」
あたしの紹介は不服だったようだ。
コメカミに青筋がたっている。
「そうか…東京には色々な人種がいるんだな。あたしは桜華学園高等部2年の七瀬紫茉と言う。芹霞とは、学園祭で偶然ぶつかった時、携帯を間違えて持ってしまい…その縁で友達になって貰った。あたしの野暮用で中々都合がつかず…やっと今日自由行動出来たから、有名スポット"渋谷109"を、彼女の好意で案内して貰うことになった。以後よろしくな、ストーカーさん」