シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

「何者!!?」


私の声に少年が、こちらを振り向いて。


「『漆黒の鬼雷』?」


私の異名を知るということは、やはりその道の者で。


さして驚いた様子もなく、曇った鈍色の瞳を合わせてくる。


判る。


これは――


感情が無い者特有の色。


私は…糸を持つ手に力を込めた。



そして幼い少年は――


「!!!」


その目を突如…真紅色にさせた。


それはまるで、2ヶ月前に相対した――

かつての殺戮集団の制裁者(アリス)のように。


人でありながら、人ではない。


その存在意義は、"殺す"こと。


殺気から判る、相手の腕前。


外見に惑わされてはいけない。


ああ、この子供…

かなりの手練れだということは、身体が感じるびりびりとした空気でよく判る。


そして。


彼は後ろに双匕首のうちの1つを神崎家の…居間にあたる窓に向かって投げ、同時にもう1つの匕首で、窓に向かったものを糸で搦め捕ろうとした私に向けてきた。

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