シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

・淀み 玲Side

 玲Side
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櫂と話していた時に、突然居間の窓が割られて、飛び込んできたのは…銀の環。


僕の記憶が確かであるならば、これは古来よりある暗殺武器。


鉄環手と呼ばれるものではないか。


「櫂、気をつけろ!!!」


ぶれたように動く環の動きは一定しておらず、身を捩ってその場をやり過ごしても、部屋のものを破壊する威力は失われぬままに、中空飛行を繰り返す。


そんなのにやられる僕達ではないが、環の威力と速度は大きく、更に縦横無尽に暴れ回る。


「このままだと、家が壊されるな」


そう苦笑した櫂に僕も笑い、僕は神崎家の戸棚から、長めのナイフを2本掴み取り、環の動くタイミングを見計らって、ダーツのようにそれを放り投げた。


2つのナイフは環の縁を内外に挟むように、環ごと壁に突き刺さり…そして動きを止めた。


マンションの火といい、これといい。


僕達が狙われているのは確かなようだ。


そんな時、煌が2階から駆け下りてきて。


「敵襲か!!? 大丈夫か!!?」


そして、


「芹霞と遠坂は此処に居ろ!!

俺が外見てくる!!!」


煌が玄関から外に飛び出た。


何か――

子供の声がして。


割れた硝子を、警戒しながら慎重に修復していた僕は、閉めたカーテンから、煌と桜、そして見知らぬ幼い子供の姿を目にする。


車でも見に来たのだろうか。


いや…あの気は、普通じゃない。


言うなれば、裏世界に身を置く者特有の――


「じゃあね、BR002!!」


そんな言葉が子供の口から漏れて。

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