シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「うん。お詫びしたいっていうから…。また109に…」
「お前な!!! 渋谷であんな目にあって、まだ"ティアラ姫"かよ!!? 危機感を持て、危機感を!!!」
煌が呆れたように叫ぶ。
「だって~。紫茉ちゃんはティアラ姫好きだから…。あたし紫茉ちゃんと仲良くなりたいんだもん」
芹霞が涙目で俯いたら、煌がおろおろし始めた。
「泣くな、泣くんじゃねえ!! お前最近、泣きすぎだって!!!」
「うっさい、煌が怒鳴りすぎなの!!! 女の子を労(いた)われ!!!」
取っ組み合い喧嘩に発展しそうになった時、腕組みをしていた櫂が言った。
「シマちゃんとやらを、この家に呼べ」
「へえ?」
煌の胸倉掴みながら、芹霞は素っ頓狂な声を上げる。
「仲良くなりたいのなら、まず互いの家の行き来が必要だと、お前は俺に言っていたよな?」
「ま、まあ…」
「それにお前の部屋には"ティアラ姫"だらけだ。そいつも喜ぶ」
「……。そうだね。だけど広尾に住んでいる紫茉ちゃんに、ここまでご足労を…」
「広尾!!? あの女何者!!?」
「…ということも、聞きたい。彼女だけではなく、あの小猿も。星見鏡を返すから皇城翠も連れて来いと言え。色々聞きたいことがあるから」
「来てくれるかなあ?」
「お前と友達になりたいと思っているなら来てくれるさ。来ないならそれまでの奴だ」
「うーん、でも渋谷で危険な目にあったのだから、下手に出歩きたくないって…」
「全ての護衛を呼べばいいだろう。お前が会った"イケメン"とやらも」
「イケメン…あ!! あたしでも忘れていたこと、よく覚えているね」
すると櫂の顔が不機嫌そうに歪む。
「忘れていないさ。
そいつも"白衣"だったことくらい」
"白衣"
――あの白衣野郎…医者か!!? 科学者か!!?