シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「遠坂、氷皇の書置きを見せてくれ」
櫂の言葉に、僕は現実に返る。
そうだ、僕にはやることがあるのに。
由香ちゃんはポケットから、4つ折にした紙を取り出した。
『指令その1
新東京七不思議の7つ目を調べてね☆』
「は?」
櫂が唖然とした顔をした。
「な、何で…七不思議?」
煌が口を開けて首を傾げた。
「榊に…調べさせる気だったのでしょうか? そして…こんなものの為に、氷皇は私達を"泳がせた"と? 元老院決定を保留にしてまで?」
桜はテディベアを抱き締めていて。
「"その1"ということは、それ以降もあるの?」
芹霞がうんざりとした顔をして。
「サンドリオンが無関係とは思えないけれど、だからって7つ目って何!!?」
櫂が溜息をつきながら言った。
「親父の動向を含め、俺たちの嫌疑を晴らすのと、七不思議を調べるのと、芹霞のサンドリオンの調査。そして出来れば同時進行で、"約束の地(カナン)"に影響を与えた停電のこと、紫堂に圧力をかけようとしている輩達の調査もしたい処だが。
13日間…厳密にはあと12日、いやそろそろ11日間となるか。
たらたらとしてられないな」
「またまた、盛り沢山なことで。さあ、ボクも頑張りますよ!!!」
由香ちゃんが腕まくりをした。
こんな時に。
僕は自分のことばかりで。
やるべきこと山にあるというのに。
芹霞のことばかり考えてしまっている僕。
何て身勝手な男なんだろうと、
人知れず…嗤った。