シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
――――――――――――――――――――――――――――……



「あたしも、櫂がだあいすき」



思い切りぎゅうをした。


だけどなんだろう、何か違和感。



あの柔らかさがない。


すべすべはしてるけど、ごつごつして何か固い。



あたしの腕にすっぽり嵌る、あの華奢な小ささがない。


大き過ぎて、あたしの手が回しにくい。



だけど温かみはそのままで。


そのままというより、何だか段々熱くなっているような?


やっぱり何だかおかしい。


ぺたぺた触ってみても、やはり違和感は消えなくて。


そもそも。


いつもの櫂なら、


――僕の方が、大大だあいすき!!



倍以上に、返るものがあるはずなのに。



静か過ぎる。


物足りない。


おかしすぎる。


本当にこれは櫂か? 


天使の櫂なのか?



「んんん?」



よく目を凝らそうと、目を開けば――

飛び込んできたのは漆黒の瞳。



やっぱり櫂じゃん。





< 176 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop