シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
安心したけれど…同時に怪訝に思った。


なんで・・・"困惑"の色が濃い?


あたし、いつも通りだよね?


更に。


眉間に皺を寄せて、下唇を噛み締め…かなり苦しげで。


いつも櫂、喜んでいたよね?



「んんんんん?」



ほわほわとした雰囲気なんて全くない…可愛げないこの仏頂面。


何より、整いすぎたこの美貌。


それが8年後の櫂なのだと、気づくのに少々時間がかかった。


そして更に数秒後。



「あ、あんた何、人のベッドに入って寝てるのよ!!?」



櫂は櫂でも、8年後の櫂をぎゅうしていたことに気づいた。


しかもかなり際どいぎゅうで。


両足の中に櫂を挟みこんで、背中に…何と服の下の肌に直接手を回し、更にはあたしの胸に櫂の顔を押し付けてるこの密着具合。


「ひゃああああ!!! 変態~ッッ!!!」



櫂は何故か身体を固まらせていて。


慌てるあたしに、不服そうな顔だけを向けていて。



「起こしにきた俺が悪いのか、芹霞」


睨み付けた。


「へ?」


「突然叫んで俺をベッドに引き摺り倒し、力一杯抱きついてきて、服をめくってぺたぺたぺたぺた遠慮なく人の身体触りまくって、それで俺を変態呼ばわりか!!!」


事実は…そうだったらしい。

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