シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
例え姿が変わっても、大好きな櫂が朝から昔のようにこの家に居て、玲くんの最高の笑顔を見ながらおいしいご飯が食べれて。
桜ちゃんや由香ちゃんと他愛無いおしゃべりをする。
櫂の家じゃなく、あたしにとって思い出深いこの家で。
勿論そこには、当然煌も居て。
大好きな場所で、大好きな人たちに囲まれて過ごす幸せ。
それはもう、夢みたいに嬉しいことで。
煌は嫌なの?
皆でいるのは楽しくないの?
煌も皆が大好きだと思っていたのは…勘違いだったの?
そう思ったら…
あたしは煌がよく判らなくなってしまった。
櫂に…あんな寂しそうな顔させてまで、この"家"から皆を排除したい理由は何!!?
あたし達、幼馴染じゃない!!!
あたしなら。
この家と、皆のどちらかを取れと言われたら、躊躇うことなく皆を取る。
家なんて、所詮ただの場所。ただの痕跡の在処。
皆以上に大切なものではない。
そう思うと、ただ家だけを死守して、皆を等閑(なおざり)に考える偏狭ワンコに、ただ怒りだけが湧いてきて。
「最低ッッ!!!」
再度、動かずに身体を固まらせたままの煌の頬を叩いた。
「芹霞、俺はただ…」
哀れみを誘うようなその目も、あたしにはただ腹立たしいものでしかなく。
「暫く口利かないからッッ!!!」
「!!!」
それから。
あたしは煌を徹底的に無視をした。